お問い合わせの多い病気

当院によくいただく質問を紹介しております。

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■かぜ(感冒、急性上気道炎、かぜ症候群)

上気道炎8090%はウイルス感染症です。特別な治療を行わなくてもほとんどは1014日以内で自然に治癒しますので、症状がそれほどひどくない場合は、安静保温で経過観察してください。

たまにA群β溶連菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳菌などの細菌も、発熱、咳、咽頭痛などを起こしかぜ症候群の原因になります。しかしその頻度は多いものではありません。当院では症状をよく聞いて、家族や学校、幼稚園での流行状況などを確かめ、場合によっては検査を行って診断を確認し、薬を処方するようにしています。

かぜ症候群には時に、急性中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎なども合併しますが、これらも去痰剤や鼻汁吸引だけで軽快することが多いです。当院ではできるだけ不必要な抗菌薬の処方は行わないようにしています

発熱、咳、鼻汁、頭痛、関節痛などの症状は風邪をひいたときの体の正常な防衛反応です。体温を高くすることによって免疫力を高め、鼻汁で鼻からの新たな病原体の侵入を阻止し、咳で病原体を吐き出し、気道(呼吸するときの空気の通り道)を確保し、頭痛や関節痛は強制的に安静状態をとらせて、かぜをできるだけ早く治そうと頑張っているのです。ですから原則として熱冷ましや咳止めなどの対症療法は必要はないのです。

それでも熱があると苦痛や不安が強くなります。そのようなときは安全性の高い薬剤を最小限に処方するようにしています。特にお勧めなのはグリセリン浣腸を行うことです。熱で頭痛や不眠を訴えるときは、浣腸して排便を促すと、驚くほど速やかに症状が治まり、よるぐっすりと眠れるようになります。

上気道炎の診療で重要なことは、「安全で安心な医療」を実践することだと考えています。それには①菌血症や細菌性髄膜炎などの重症疾患を見逃さない、②不必要な薬は使わない、③病気の治療や予後、予防などについて適切な情報を提供する、の3点を実践しようと日々、努力を重ねています。


■インフルエンザ

インフルエンザウイルスの感染による病気です。日本では冬~春先が流行期で、同一シーズン間に複数種のウイルスが流行することが多いです。

潜伏期間は1~3日と短期間です。風邪同様のノドの痛み、鼻汁などに加え、38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、腹痛といった全身症状が強いのが特徴です。近年は合併症としての乳幼児では脳炎、脳症、高齢者では肺炎も注視されています。

治療薬としてタミフル、リレンザ、イナビルなどがあります。発病後48時間以内に服用、あるいは吸入すればある程度の効果が期待できます。軽症例では、安静保温だけで十分に回復可能です。

当院でインフルエンザの予防接種を受け付けております。特に乳幼児ではインフルエンザにかかったことがなく、免疫がまったくないので、脳炎、脳症などの重症化することがあります。ワクチンはそのような合併症を防ぐとされています。お問い合わせください。


麻疹(はしか)

麻疹ウイルスによる赤い発疹を呈する急性伝染性疾患のことです。伝染力はきわめて強く、感染すると95%以上が発病します。

冬、春に流行し、9~11日の潜伏期の後、38℃前後の発熱、せき、鼻汁、くしゃみ、結膜充血が2~4日続きます。

その後一度下降した熱が再び高熱となり、耳後部、頸部、体幹、上肢、下肢の順に赤い発疹が広がり、色素沈着を残します。肺炎、中耳炎、脳炎などの合併症があり、麻疹生ワクチンなどによる予防が可能です。1歳過ぎたらすぐに風疹との混合ワクチン(MRワクチン)を接種してください。2歳未満までに受ける必要があります。2回目は小学校入学前の年長で行います。


風疹

日本では三日はしかとしても知られています。風疹にかかった人は免疫ができ、二度とかからないといわれていますが、まれに再感染の事例はあります。

風疹ウイルスによる飛沫感染です。感染した人との密接な接触でも感染します。感染力は発疹の発症前1週間~発疹消滅後1週間程度です。

我が国では2012年、2013年と成人を中心に大流行し、社会問題となりました。とくに妊婦が妊娠4ヵ月未満で感染すると胎児に感染し、先天性風疹症候群といわれる心臓病や視力、聴力障害をともなう病気を起こします。今般の大流行でも多数の患者が生まれました。

今は麻疹と同じく2回の予防接種を行うようになっていて、小児から大学生くらいまでは十分な免疫をもっているとされています。成人、とくに男性は予防接種をしていない人がいますので、あらたな流行の要因となります。罹患したかどうか定かでない人は是非、ワクチン接種をご検討ください。


■おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

原因となるのはムンプスウィルスに感染すると2~3週間の潜伏期間を経て発症します。耳の下にある耳下腺が腫れ、痛みを伴います。

子供に多い感染症で、学校伝染病に指定されていて、出席停止となります。成人になってから感染すると、精巣や脳、すい臓に合併症が起こることがあります。小児でも重篤な聴力障害を残すことがあり、また髄膜炎や急性膵炎など比較的重い合併症を起こすこともあります。

唾液などで飛沫感染しますが、2回予防接種をした人や一度かかった人には免疫ができ、再びかかることはありません。予防接種1回だけでは十分な免疫ができないこともあるとされています。是非、2回の接種をご検討ください。


■アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、アトピー型気管支喘息、アレルギー性鼻炎、皮膚炎の蕁麻疹を起こしやすいアレルギー体質(アトピー素因)の上に、様々な刺激が加わって生じる痒みを伴う慢性の皮膚疾患と考えられています。患者の約8割は5歳までの幼児期に発症するといわれています。

発病、あるいは悪化を防ぐもっとも重要なことは適切なスキンケアを行うことです。その要点は

1.石けんやボデイソープなど、泡のでる洗浄剤は絶対使用しないこと、

2.適切な保湿剤、ワセリンはヒルドイド、その他の市販品でも良いですから、1日2〜3回はしっかり、そしてたっ

  ぷりと行うこと、

3.頚部や腋窩、肛門周囲など汚れ易く洗いにくい場所はスキンケアオイル(例えばスキンケア用オリーブオイル)な

  どで優しく拭ってやることなどです。

治療薬としてよく用いられるのはステロイド軟膏です。皮膚の炎症を抑えてたたちどころに皮膚炎が軽快しますが、皮膚炎を起こす原因、もともと生まれつきの皮膚バリア機能の弱さを治しているものではないのです。そのため使い続けると段々効果がなくなり、さらには突然増悪することもあります。

治療で重要なことは皮膚バリア機能の弱さを補うスキンケアをしっかり行うことです。

従来学童期に自然治癒すると考えられていましたが、成人まで持ち越す例や、成人してからの発症・再発の例が近年増加しています。


■気管支喘息

アレルゲンや刺激物質などによって気道が過敏に反応し、咳、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などを起こす病気です。

乳幼児では喘息発作は風邪をひいて発病、悪化することがほとんどです。とくRSウイルス、ライノウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどが原因となります。

運動後に発症する運動誘発性喘息もあり、重症の場合、死亡することもあります。

アレルギー性のため、花粉症、アトピー性皮膚炎などの合併症状を示す場合も多いです。家族のアレルギー体質、早朝の喘鳴、呼吸困難などの症状があり、気管支拡張薬やステロイドが著効を示す例は喘息である可能性が高いといわれています。

当院では家族に花粉症などのアレルギー疾患の病気があり、鼻汁や咳、喘鳴を繰り返すお子さんにはアレルギー気管支炎、あるいは気管支喘息として抗アレルギー薬のオノン、去痰薬のムコダイン、ムコソルバンを処方しています。多くの患者でよい効果が得られています。

また喘息発作を繰り返す年長児や学童、中学生以上の人にはステロイド吸入による予防を勧めています。ご相談ください。


■急性胃腸炎

吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が急に現れる病気の総称。原因はウイルスと細菌とがありますが、ロタウイルスやノロウイルスを代表とするウイルス性のものが全体の90%を占めます。

細菌ではカンピロバクタ―がもっとも多く、ほかにサルモネラ、O-157などの病原性大腸菌、腸炎ビブリオなどがあります。

ウイルス性胃腸炎の治療法としてはじゅうぶんに塩分を含む経口補水液(アクアライト、OS-1など)で水分補給を行い、整腸薬で便の状態を改善しながら、吐き気が治まったらよく加熱した食事を始めるように指導します。


■熱性痙攣(ひきつけ)

6カ月~5歳くらいまでの乳幼児で38℃以上の発熱に伴って起きるけいれん性疾患のことをいいます。

だいたい5分程度で症状はおさまります。原因はまだ不明で、乳幼児の10人に1人は熱性痙攣の経験があると言われていますのでそれほど特殊な病気ではありません。

初めて痙攣が起こった時はびっくりして気が動転すると思います。あわてず落ち着いてと言いたいのですが、なかなか難しいと思います。まずは気を落ち着けることに集中してください。そしてしっかりと落ち着いてから当院などにお問合せいただき、お子さんの症状などをご説明いただけましたらと思います。

2回以上繰り返す、1回の発作が長い、家族に熱性けいれんを繰り返した人がいる等の場合は、けいれん予防薬のダイアップ坐薬を処方します。発熱したと思ったらまず即座に1個を投与します。8時間たってまだ熱がある場合には2個目を投与します。通常この2回の投与で、ほとんどのけいれんは予防できます。その後も熱が続いている場合、3個目の投与は避けてください。けいれん予防薬は脳の活動を抑制し、意識障害を起こした場合、病気によるものか薬のせいなのか判断ができなくなるからです。